演技力の評価方法(高さ、低さの見分け方)3つのポイント

キャスト, コラム

ドラマを観ていると、俳優さんや女優さんについて漠然と、演技力が高いなと思ったり、低いなと感じたりすることがあると思います。

でも演技力が高いってどういうことなのか?

 

演技力の良し悪しを見分けるのは(私も含めてですけど)難しい部分もあると思います。具体的な評価ポイントを知らないで、意識しないでいると、余計に難しいです。

 

この記事では、私なりの演技力の評価の方法、高い低いを見分けるポイントを3つご紹介します。

 


この記事の目次

演技力とは

演技力とは、文字通り俳優・女優の「演技」の力のことですが、かなり抽象的な概念です。

 

自分は演技力が高いなと思っている俳優さんでも、他の人に言わせれば低かったりします。これは受け取り方に個人差があるのでしょうがありません。

それでも、自分なりの基準を持つと、自分の中で納得がしやすいです。

 

よく演技力論のような記事を見ると、抽象的なことが書いてあったり(例えば、演出家の意図を表現できているか、など)しますが、そういうのは抜きで、なるべくわかりやすい方法を書きたいと思います。

もちろん私の考えが全てではありませんので、別の考えがあるとは思いますがあしからず。

 

他の役者の演技に置き換えてみる

1つ目は「他の役者はこの演技ができるか?」というポイントです。

 

私は、ドラマを観ていて「このシーン(セリフ)の、この役者の演技が良かったな」と思ったら、他の役者がこの演技をできるか? ということを想像してみます。

脳内で、他の役者数人に同じセリフを言わせてみます。

 

ここで見ているのは、「誰にでもできる演技」なのか「その役者にしかできない演技か」です。

脳内の役者でも、「これくらいの演技ならできるな」と容易に想像できるのであれば、それは「ありきたりの演技、誰にでもできる演技」をしているといえる、と私は考えます。

 

逆に、脳内で想像する他の役者の演技と、実際に視聴した当該役者の演技がまったく違う、ということになれば、私は当該役者の演技力を評価してもよいと思います。

演技力が評価されない多くの役者は「ありきたり」な「誰にでもできる」ような演技をしていて、演技が印象に残りません。私は少なくとも、ありきたりではない演技をしているという点を評価しています。

 

一定水準には誰でも達する

ドラマは撮りなおしや編集、カメラワーク等による演出ができますから、どんな俳優・女優でも一定の演技水準には達します(ごく一部を除いて)。

 

つまり、たとえ演技力が低くても「ありきたりな演技」の水準には達することができると考えます(ごく一部を除いて)。

 

だから、「ありきたりではない」ということだけで、まずは評価に値すると考えています。

 

頻出するセリフの言い方

2つ目は「よく出てくるセリフの言い方」というポイントです。

 

ドラマには、頻繁に出てくるセリフというのがあります。

例えば、「よろしく」「大丈夫?」「ありがとう」など。日常会話でもよく出てきますね。

 

その中でも私が最も注目するセリフというのがあります。それは、

えっ

です。「えっ?」「え?」の疑問形も含まれます。

 

この短いセリフをどう演じるか、とても注目です。

なぜなら、このセリフが100回出てくれば、100通り違うシチュエーションがあるはずで、その場面や役に応じた「えっ」を言ってほしいからです。

どのシチュエーションでも同じ「えっ」を言ってる役者さん、いますよね!?

 

適切な演技の選択

そもそも日常会話では、ドラマでよくあるような「えっ」という言い方をしないことが多いですよね。文章で表現するのは難しいですが、ドラマでよくあるように、何かに衝撃を受けて呆然とした状態で静かに「えっ」と発音することは、日常ではあまりないはずです。

 

俳優・女優さんは、脚本(台本)に「えっ」と書かれていたら、自分の役とその場面から、適切な「えっ」を見つける作業をするはずです。本番前の準備として当然ですね。

たとえ脚本(台本)に書かれていても、自分が「えっ」じゃないと思ったら「えっ」じゃない発音をしてもいいのです。「あっ」「うっ」「へっ」「はっ」に近い「えっ」でも良い。演出家・監督と相談して、こういうふうに言いたいと、事前に準備すればいいのです。

 

演技力=事前準備の力でもある

脚本家によっては、癖のように「えっ」というセリフが頻出している場合があります。脚本家は「えっ」と発音してほしいわけじゃなくて、「えっ」という演技をしてほしいのです。

演技力があるというのは、脚本を解釈して事前に準備することができる、そのやり方を知っているということでもあります。

 

演技力が低い方は、その準備ができていないので、ただの条件反射だったり、何の主張もないボンヤリとした「えっ」になってしまいがちです。シチュエーションに応じた「えっ」を言ってる役者さんというのは、評価できると考えます。

 

私の場合は「えっ」でしたが、別にどんなセリフでも良いのです。頻出するセリフについて、俳優・女優が自分なりに解釈して、シチュエーションに応じた発音・演技をしているのか、注目してみてください。

 

大げさな演技の理由

3つ目は「演技が大げさになっていないか」のポイントです。

 

その昔、演技といえば「舞台」でするものでした。テレビや映画がない時代ですね。

 

もちろん今でも、全国各地で数多くの舞台が上演されています。プロを多数擁する超有名な大きな劇団のものから、地方で全員が兼業でやっている小劇団まで。我々はドラマや映画でよく演技を目にしますが、役者の大多数は「舞台」を主戦場にしています。

舞台役者から、ドラマに来る人もいます。あるいは事務所が若手の俳優・女優(モデルとかアイドルもですね)に舞台を経験させて、それからドラマに出る場合も。

これは役者だけではなくて、脚本家や演出家や監督といったスタッフ全般も同じようなことがいえます。

 

私は、ドラマを観ていて「これはやめてほしいな」と思う場面があります。舞台の癖が抜けていない演技をしている役者、舞台と同じような演技をしている役者です。

 

メイクは全く違うのに

舞台に出る役者のメイクを間近で観たことがあるでしょうか。宝塚歌劇団のように、とまではいかなくても、目鼻立ちがはっきりするようにメイクしている場合が多いです。

流石にメイクは、舞台用とドラマ用ではまったく違います。

 

ところが役者はそうではない。舞台では観客と役者が遠いので、顔の細かい表情や繊細な動きは伝わらないので、とにかく日常よりは大きく身振り手振りをつかって演技をする必要があるのです。

 

日常ではありえない演技

日常生活では「相手に背中を向けて何かを発言する」といったことは、ほぼありえません。ところが舞台やドラマでは頻出しますよね?

例えば、相手を突き放すようなセリフを言う時とか、昔を思い出しながら話す時、言いづらいことを言う時など、相手に背を向けて発言するのは演技では常です。これは舞台だと、その役者の表情が観客に伝わらないので、「背を向ける」という大げさな演技をすることによって観客に伝えているのです。

 

ドラマでは必ずしも「背を向ける」演技をする必要はありません。

目の表情で伝える、目をそらす、視線を変える、瞬きの仕方を変える、口元の表情で伝える、といった顔の演技で、その役の心境を視聴者に伝えることができます。あるいは首を少し振ったり、肩を少しすくめたり、つばを飲み込んだり、いろんなバリエーションがあります。

役者は、それらからシチュエーションにあわせて適切な演技を選択する必要があります。

 

また「背を向ける」まではしなくても、極端な表情をする役者もいますね。いかにも「演技してます」っていう。

 

演出家(監督)の諦め

演出家(監督)は、必ずしも役者一人ひとりについて、その演技の引き出しをすべて把握しているわけではありません。役者自身が「自分の演技の引き出し」の中からそのシチュエーションに最適な演技を見つけて、表情を作って、自発的に演技をするのが当然です。

 

役者が、自発的に表情を作れないとしたら? ドラマの現場はとにかく時間がないのです。演出家は役者にいちいちこまかく指示できない。「じゃあ相手に背を向けてセリフを言ってみて」と、舞台的表現に逃げるケースも考えられますね。ようするに演出家はその役者に演技をさせることを諦めてるのです。

引きで撮影すれば、表情の演技とか関係なしで、一応演技になる。結果的に大げさな演技になるけど。

 

例外もあります

ここでは「相手に背を向けてセリフを言う」というケースをご紹介しましたが、大げさな身振り手振りだったり、歩き方だったり、泣き崩れ方だったり、極端な表情だったり、そういうのにも注目です。

 

もちろん、大げさな演技をわざとやってる場合もありますよ。それが自分に求められてる演技であると解釈していたり、コメディチックな場面だったり、そういう演技が求められる場面というのはあります。

また、「形式美」のような形で演じてるケースもあると思います(これは詳しくはまた別の記事で書こうかと)。

そういうケースは例外です。

 

まとめ

この記事では演技力の評価ついて、私なりのやり方をご紹介しました。

 

・別の役者でも容易にできそうか? と考えてみる

・頻出するセリフの演技に注目する。おすすめは「えっ

・大げさな演技に注目する

 

もちろんこれは私なりのやり方であり、自分なりの基準をみつけてみてください。

最後に書いておきますが、俳優・女優は演技力だけで評価が決まるものではないですよね。見た目の美しさや、声の美しさで単純に「かっこいい」「可愛い」「イケボ」でも評価されることがあります。これはドラマだけではなくて、能・狂言・歌舞伎の時代からそういうものだと思います。

 

以上となります。最後までありがとうございました!!

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Posted by tomo