『コウノドリ2』最終回。「オランダへようこそ」はセサミ・ストリートの作家がダウン症の子供を持った体験に基づく詩
TBS金曜ドラマ枠『コウノドリ2(コウノドリ第2シリーズ)』第11話=最終回(2017年12月22日22時0分~)を視聴した感想・評価の記事です。
毎回のように重くて、でも思わず泣けるテーマが続いたこのシリーズも最終回を迎えました。
今回は、ペルソナのメンバーたちに大きな転機がありました。
そして今回、「オランダへようこそ(原題はWelcome to Holland)」という印象的な詩が出てきました。これは自らもダウン症の子供をもつ母親が書いたもの。後述する「オランダへようこそ、及びその作家について」の見出しで詳しく書いておきます。
各キャストの影響度(言及数)
まず、SNSのデータを用いて主要キャストの言及数を比較します。これにより各キャストのドラマへの影響度分析をします。
1位は四宮春樹役の星野源さん。今回はラストである決意をする。
2位は小松留美子役の吉田羊さん。彼女もまた、ある決意をする。
3位は赤西吾郎役の宮沢氷魚さん。ジュニアくんである。彼も今回は転機となる出来事があった。
4位は鴻鳥サクラ役の綾野剛さん。彼がメンバーをつなぐ役割をする。
5位は下屋加江役の松岡茉優さん。白川を強気に見送る。
6位は武田京子役の須藤理彩さん。今回のゲストの一人。助産師である。
7位は白川領役の坂口健太郎さん。今回でラストで、講談医科大へ行く。
8位は新井恵美役の山口紗弥加さんでした。
ハイライト・名場面(あらすじ含)
今回の盛り上がりグラフです。SNSで盛り上がった時間帯の分析をしています。キャスト別の盛り上がりもグラフ化していますので、お気に入りのキャストの出演時間帯をおよそ把握できます。
最後のほうに巨大な盛り上がりがあります。
以下、各盛り上がりポイント(★マークの時点)について説明します。
たっくん新曲、つわり
★37分30秒(盛り上がり度:130)
角田真弓(清野菜名)が産休を終えて戻ってきた。清野菜名さんはこの日の昼に、テレ朝の帯ドラマ枠で放送されていた主演ドラマ「トットちゃん!」が最終回を迎えた。あっちが終わったらこっちに出てきた。まあこっちも今回で最終回なわけだけど。
子供が可愛すぎて、立て続けに二人産んだという彼女に、サクラは「お子さん、大丈夫なの?」と聞いた。それに対して真弓は「心配ありません。たっくん、家にずっといるんで」と。サクラは「ああ、たっくん」となんとも言えない声を出した。
回想シーン。たっくんこと太助(東京03・角田晃広)が、「新曲で『つわり』。♪君は食べづわりィ!」と歌ってギターを掻き鳴らしていた。たっくんは売れないミュージシャンである。
小松「働けよ」
真弓「まあ、そのおかげでこうして戻ってこれたんで。小松さんから熱いラブコールもらったおかげで、超燃えてますから」
小松が、戻ってくるように頼んだそうだ。これは後半への伏線となる。
この時点のSNSでの反応:
「出たwたっくんwww」
「働けよwwwwww」
「新曲つわりwwwww」
「トットちゃんきた!」
武田が大量の出血
★44分30秒(盛り上がり度:119)
助産師である武田京子が、自らの出産を終えた。
が、小松が武田に生まれた赤ちゃんを見せようとした瞬間、床いっぱいに彼女の血が広がっているのに気付いた。
この時点のSNSでの反応:
「出血やばすぎ…武田大丈夫?」
「え?大量すぎる出血じゃん!」
「原作で知ってたけど色がつくとリアルでぞわぞわするな…」
四宮、小松がペルソナを退職
★55分(盛り上がり度:123)
四宮が、サクラと小松にペルソナを辞めることを告げた。地元・能登に帰るが、そこでも早剥(常位胎盤早期剥離)の研究を続けるという。金沢の大学病院に通えば、最新の知識を得ることが可能だという。
四宮「飛び込んでみるしかないと思ったんだ。怖がっているばかりじゃなくて。俺も、赤ちゃんが好きだからな」
サクラ「四宮は一人じゃない」
四宮「ああ」
そこで小松も話しだした。
小松「四宮先生、自分の行く道決めたんだね」
四宮「はい」
小松「よし、私も一歩踏み出そう。鴻鳥先生、四宮先生。小松留美子、ペルソナを辞めます!」(敬礼のポーズ)
小松は「お母さんのケアに力を入れた場所を作りたい」という。母親や、家族の人生を寄り添える場所をつくりたいそうだ。
サクラは「離れてたって、僕たちの目指す場所は一緒だ。それに僕はいつでもペルソナにいて、みんなをつなげていく」と言った。
この時点のSNSでの反応:
「みんなペルソナ離れすぎぃ…」
「3期作る気ないのかーーー?」
「コウノドリ3でみんな戻ってくるって信じてるから」
しのりんが笑った!!
★65分30秒(盛り上がり度:323。今回最高の盛り上がり)
今回の終盤では、ペルソナ(元ペルソナ)のメンバーそれぞれの、その後が描かれた。
中でも盛り上がったのは四宮の場面。能登北総合病院にて。
四宮が廊下を歩いていると、向かいから赤西吾郎が歩いてきた。
四宮「お前」
吾郎「地域医療研修医として、ペルソナ総合医療センターから派遣されました、赤西吾郎です」
四宮「チッ・・・サクラのやつ」
吾郎「よろしくお願いします」
四宮「ふう。邪魔はするなよ。ジュニアくん」
吾郎「体当たりで学ばせていただきます。ジュニア先輩」
四宮「・・・ぷふっ(思わず吹き出して笑う)」
吾郎「へっ(笑)」
四宮「ついてこい」
吾郎「はい」
四宮が笑った。大事件である。
ジュニア先輩が歩く一歩後ろを、ジュニアくんが歩く。
この時点のSNSでの反応:
「しのりん、笑った!笑ったよ」
「ジュニア先輩笑ったぁぁぁぁぁぁ!」
「え、なにwwww急に星野源でたw」
「あの笑い反則やろww泣きながら笑ってしまった」
ラストのシーン及びその後
★68分(盛り上がり度:231)
ラストは、サクラの言葉で終了だった。
サクラの心の声「出産は奇跡だ。それぞれ別の場所に離れても、僕たちは毎日奇跡のすぐそばにいる」「奇跡の後には、現実が続いていく。苦しくて心折れそうになることもあるかもしれない。進む道に、迷うこともあるかもしれない。けれど、僕はここにいる。ここで赤ちゃんと家族の人生に寄り添っていく」
出産シーン。サクラ「赤ちゃん産まれまーす!! おめでとうございます」
サクラの心の声「ようこそ、この世界に。生まれてきて、おめでとう。そして、すべての命にありがとう」
「ようこそこの世界へ。生まれてきて、おめでとう」はこのシリーズの初回にも出てきたサクラの心の声だ。このドラマのテーマとなっている。
そしてドラマ終了後のDVDボックスのプレゼントのお知らせでも、見どころがあった。
綾野剛「コウノドリのDVDとBlu-rayが発売されます」
星野源「それを記念して、20名様にプレゼントします」
綾野剛・星野源、同時に「宛先は・・・」「こちらの・・・」
セリフが合わない。向かい合う二人。星野源さんが笑う。綾野剛さんは笑いながら「こちらまで」と言った。
この時点のSNSでの反応:
「最終回、ずっと泣きっぱなしでした」
「ありがとうございました最高でした」
「最後まで泣かされました」
「なんだ!この最後の可愛すぎな二人は!!」
オランダへようこそ、及びその作家について
今回出てきた詩「オランダへようこそ」が印象的だったので、これについて書いておく。
この詩は劇中の創作ではなく、実在するもの。ダウン症の子供がいる母親エミリー・パール・キングスレー(Emily Perl Kingsley)氏の1987年の作品。原題は「Welcome to Holland」。
Wikipedia(英語版)によると、Emily Perl Kingsley氏は、1970年に作家としてテレビシリーズ「セサミ・ストリート」のチームに加わった。
1974年に出産した子供、Jason Kingsley(ジェイソン・キングスレー)はダウン症で生まれた。その経験を元に、セサミ・ストリートのキャストに障がい者(Tarah Lynn Schaefferや、Jason)を含めるようにと促したそうだ。
その後、ダウン症に関するメディア出演や著書も執筆、そして1984年に「オランダへようこそ」を書いた。その時、ジェイソンは10歳ということになる。
Emily Perl Kingsley氏は現在までに、20以上の児童書などを執筆しているとのこと。
さらに詳しくは上記のEmily Perl Kingsley氏のページおよび、英語版Wikipediaには「Welcome to Holland」のページもありますので参考にしてみて下さい。
以下にこのドラマで紹介された日本語版の全文を記しておく。
オランダへようこそ。
私はよく、『障がいのある子を育てるのってどんな感じ?』と、聞かれることがあります。
そんな時私は、障がい児を育てるというユニークな経験をしたことがない人でも、それがどんな感じかわかるようにこんな話をします。
赤ちゃんの誕生を待つまでの間は、まるで、素敵な旅行の計画を立てるみたい。例えば、旅先はイタリア。
山ほどガイドブックを買いこみ、楽しい計画を立てる。
コロシアム、ミケランジェロのダビデ像、ベニスのゴンドラ。
簡単なイタリア語も覚えるかもしれない。
とてもワクワクします。
そして何ヶ月も待ち望んだその日がついにやってきます。
荷物を詰め込んで、いよいよ出発。
数時間後、あなたを乗せた飛行機が着陸。
そして、客室乗務員がやってきて、こう言うのです。
『オランダへようこそ!』
『オランダ!?』
『オランダってどういうこと?? 私は、イタリア行きの手続きをし、イタリアにいるはずなのに。ずっと、イタリアに行くことが夢だったのに』
でも、飛行計画は変更になり、飛行機はオランダに着陸したのです。あなたは、ここにいなくてはなりません。
ここで大切なことは、飢えや病気だらけの、こわくてよごれた嫌な場所に連れてこられたわけではないということ。
ただ、ちょっと『違う場所』だっただけ。
だから、あなたは新しいガイドブックを買いに行かなくちゃ。
それから、今まで知らなかった新しいことばを覚えないとね。
そうすればきっと、これまで会ったことのない人たちとの新しい出会いがあるはず。
ただ、ちょっと『違う場所』だっただけ。
イタリアよりもゆったりとした時間が流れ、イタリアのような華やかさはないかもしれない。
でも、しばらくそこにいて、呼吸をととのえて、まわりを見渡してみると、オランダには風車があり、チューリップが咲き、レンブラントの絵画だってあることに気付くはず。
でも、まわりの人たちは、イタリアに行ったり来たりしています。
そして、そこで過ごす時間がどれだけ素晴らしいかを自慢するかもしれないのです。
きっと、あなたはこの先ずっと『私も、イタリアへ行くはずだった。そのつもりだったのに。』というのでしょう。
心の痛みは決して、決して、消えることはありません。
だって、失った夢はあまりにも大きすぎるから。
でも、イタリアに行けなかったことをいつまでも嘆いていたら、オランダならではの素晴らしさ、オランダにこそある愛しいものを、心から楽しむことはないでしょう。
その他あらすじ、ネタバレ等
最終回のテーマは、前回の続きで、ダウン症の子供を産むと決意した高山透子(初音映莉子)の話だった。
不安な彼女に、上記の詩が助けとなった。
ラストで透子は無事に出産を終えた。
そして、ペルソナ、元ペルソナメンバーのその後も描かれた。
赤西の方のジュニアは、産科を希望した。そして前述のように、地域医療研修医として派遣された。
白川は講談医科大へ。今橋は「頑張れ」と言って握手して送り出した。下屋は「寂しくない」と言ったが、白川は「俺は寂しいよ」と言った。
大量出血した武田は、「羊水塞栓症によるDIC、血が止まらなくなる状態」だったとのこと。子宮は全摘出しなければなかなかった。本人と赤ちゃんの命は助かった。
数値化された評価と感想
冒頭に掲載したのは、SNSのデータを基にした共起ネットワーク図です。感想の可視化・分析を目的に掲載しています。再掲します。
最後にSNSのデータを基にした評価を確認します。
最終回は相当に高い評価となった。前回沈んだ分をバネにして跳ね上がった感じで、シリーズベストとなった。
このドラマの中心的なテーマである、出産やそのそばにいる人間たち、その悩みや喜びがつまった最終回だった。このドラマの視聴者層というのはそういうテーマを受け止めたい人だと思うし、その需要に正面から応えた最終回となっていたと思う。
また、ペルソナでの人間関係も描かれた。悩んだ末にペルソナから別の場所へ行く人たち、残る人たち、しかしサクラを中心に結ばれている・・・という関係で、純粋で美しいばかりの人間模様を描いたところも、それが主テーマを邪魔しなくてよかったと思う。
その他、出産に関わる医療の問題も描かれた。特に、第1話で出てきた萩島(佐々木蔵之介)がこの最終回に再び登場し、四宮らの行動に影響を与えるというのは強いメッセージだった。
このように社会的メッセージを含む作品というのは、(もちろん嫌いな人もいるかもしれないが)社会的な意義は大きいと思う。本作についてはメッセージがしつこすぎず、バランスよかったと思った。また、単純な医療作品ではなく、メッセージを込めるということで、キャストだけでなく制作陣、脚本や裏方スタッフさんも大変なご苦労があったと想像できる。
お疲れ様でした。
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